目次
はじめに
株式投資を行う際には、投資銘柄の企業研究が欠かせません。
ここでは専門知識のないサラリーマンや投資初心者のために、企業研究において最低限確認しておくべきポイントを整理してお伝えします。
自分の気になっている/保有している銘柄に対して、以下の内容も参考にしながら企業研究を進めてみてください。
企業概要
サムティ株式会社は、関西圏を地盤に不動産開発事業・賃貸事業・ホテル事業などを展開する総合不動産会社です。
ファンド・REIT・投資家向けにも不動産再生及び販売を手掛けており、土地の仕入れから売却までグループ内で完結できるのが特徴です。
会社名 | サムティ株式会社 |
従業員 | 連結303名 単体137名 |
決算 | 11月 |
設立 | 1982年12月 |
上場 | 2007年7月・東証一部 |
業種 | 不動産 |
事業内容 | 不動産事業 不動産賃貸事業 不動産企画・設計 |
2020年12月にはベトナム・ハノイにて分譲住宅事業に参画することを発表し、メイドインジャパンのスマートシティ開発が注目されています。
業績
直近3期分の業績推移を以下にまとめます。
決算期 | 売上高 | 営業利益(利益率) | 経常利益(利益率) |
2018年11月期 | 84,274 | 14,033(16.7%) | 11,635(13.8%) |
2019年11月期 | 85,552 | 15,395(18.0%) | 13,913(16.3%) |
2020年11月期 | 101,120 | 17,355(17.2%) | 15,247(15.1%) |
2020年はコロナ禍がありながらも、3期連続で増収増益を達成しています。同業他社と比較して利益率の高さが特徴的です。
事業セグメント
事業セグメントは、不動産事業・不動産賃貸事業・その他の事業の3つです。事業セグメントごとの経営成績をまとめます。
不動産事業
不動産事業は不動産の企画・開発・販売・再生などを行っており、売上高の大部分を占める主力事業です。直近3期分の業績は以下のとおりです。
決算期 | 売上高 | セグメント損益 |
2018年11月期 | 75,143 | 15,547 |
2019年11月期 | 74,806 | 17,294 |
2020年11月期 | 90,035 | 18,897 |
売上・利益ともに順調に推移しています。
不動産賃貸事業
不動産賃貸事業はマンション・オフィスビル・商業施設・ホテルなどの賃貸及び管理を行っています。
決算期 | 売上高 | セグメント損益 |
2018年11月期 | 6,807 | 1,907 |
2019年11月期 | 6,698 | 2,462 |
2020年11月期 | 8,272 | 3,780 |
営業エリアの拡大や不動産仕入の強化により、徐々に売上・利益を拡大させています。
その他の事業
その他の事業はホテル運営や、分譲マンションの管理事業及び建設・リフォーム業等をまとめてセグメントされています。
決算期 | 売上高 | セグメント損益 |
2018年11月期 | 2,491 | 83 |
2019年11月期 | 4,434 | 75 |
2020年11月期 | 3,241 | -460 |
コロナ禍で訪日観光客が減少し、ホテル運営事業などは苦戦を強いられているようです。
今後の業績予測
最新決算時点での2021年11月期の業績予測は、以下のとおりです。
決算期 | 売上高 | 営業利益(利益率) | 経常利益(利益率) |
2021年11月期予測 | 76,600~92,200 | 8,100~11,800 | 11,600~15,400 |
2021年11月期は、10%前後の減収・30%前後の営業減益を予測しています。
コロナウイルス感染拡大の収束状況により、延期となっているホテルREITの立ち上げや海外事業の拡大がどのような展開となるかがポイントの一つになりそうです。
財務状況・収益性
直近3期分の財務状況推移を以下にまとめます。
決算期 | 純資産 | 利益剰余金 | 自己資本率 | ROE | ROA |
2018年11月期 | 62,438 | 30,556 | 37.9% | 16.9% | 5.2% |
2019年11月期 | 71,627 | 36,335 | 32.5% | 14.7% | 4.5% |
2020年11月期 | 77,699 | 43,615 | 30.7% | 14.3% | 4.2% |
8期連続の増収増益に裏付けされるように、健全な財務体質と収益性を維持していると言ってよいでしょう。利益剰余金も着実に積み上げられています。
キャッシュフロー
直近3期分のキャッシュフローを以下にまとめます。
決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | フリーCF | 現金残高 |
2018年11月期 | 31,828 | -744 | -11,836 | 31,084 | 44,080 |
2019年11月期 | 4,425 | -53,337 | 48,683 | -48,912 | 44,102 |
2020年11月期 | 11,958 | -31,815 | 17,488 | -19,857 | 41,724 |
直近2年は物件の売却や長期借入金により、開発用地や不動産を積極的に取得しています。自己資本率は財務計画の30%を維持しており、株主への還元も高い水準を維持しています。
投資判断におけるポイント
成長性
多彩な収益不動産に対する積極投資の効果もあり、不動産事業・不動産賃貸事業ともに順調に事業拡大しています。
海外事業会社がシンガポールにオフィスを構えたことで現地の情報収集がスムーズになっており、今後の海外事業展開が楽しみです。
ホテル事業などコロナ禍の影響を受けやすい事業の回復とともに、さらに拡大・発展していくことが予測されます。
株価推移
直近3カ月の株価推移を以下にまとめます。
計測月 | 株価 |
2020年10月末時点 | 1,649円 |
2020年11月末時点 | 1,654円 |
2020年12月末時点 | 1,795円 |
2020年11月期の決算発表にて21年11月期の減収減益予測が発表され、20年12月末時点より150円程度下落しています。
業績予測の上方修正を期待して、今まさに買いに動くのも良いかもしれません。
まとめ
サラリーマンや投資初心者でも、企業研究をしっかり行うことで投資効果を高めることができます。
気になる業界や企業をピックアップして、まずは自分なりの調査・研究をスタートさせてみましょう。
「財務諸表の読み方がわからない」「財務諸表の基本を学びたい・知りたい」という方には、以下の書籍がおすすめです。リンクを記載しますので参考にしてみてください。
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