はじめに
労働生産性とは、労働者が生み出す付加価値をかかった時間や労働者数で割った数値で求めるのが一般的です。
少子化・高齢化の影響をこれから強く受けようとしている日本にとっては、大切な指標の一つになるため、ここでは日本の労働生産性について基本的な内容を調べてまとめます。
日本の就業者1人あたり労働生産性
公益財団法人日本生産性本部の調査によると、日本の就業者1人あたりの名目労働生産性の推移は以下のとおりです。
年度 | 名目労働生産性 | 対前年増減 |
2015年度 | 8,307千円 | +186千円 |
2016年度 | 8,286千円 | -21千円 |
2017年度 | 8,339千円 | +53千円 |
2018年度 | 8,204千円 | -135千円 |
2019年度 | 8,205千円 | +1千円 |
ここ数年は目立った成長が見られず、ほぼ横ばいです。2020年度はコロナウイルスの影響がどの程度反映されるのか注視する必要がありそうです。
就業者1人あたり労働生産性の各国との比較
OECD(経済協力開発機構)加盟国の中での日本の順位や水準を確認してみます。就業者1人あたりの労働生産性ランキングを抜粋してご紹介します。
順位 | 国名 | 労働生産性 |
1位 | アイルランド | 187,745ドル |
2位 | ルクセンブルク | 161,681ドル |
3位 | アメリカ合衆国 | 136,051ドル |
4位 | ノルウェー | 131,616ドル |
5位 | ベルギー | 130,489ドル |
26位 | 日本 | 81,183ドル |
- | OECD加盟国平均 | 100,158ドル |
日本の順位はOECD加盟国37か国中の26位です。1990年の15位から2000年・2010年の21位、2019年の26位と順位を落とし続けています。
日本の就業者1人あたり労働生産性は、アメリカの60%程度です。OECD加盟国の平均とは20,000ドル程度の乖離があります。
国内の産業別労働生産性
日本生産性本部の生産性データベースによれば、2018年の産業別の就業者1人あたりの労働生産性の上位産業は以下のとおりです。
産業 | 労働生産性 |
不動産業 | 52,540千円 |
電気・ガス・水道 | 24,450千円 |
情報・通信業 | 13,898千円 |
金融・保険業 | 13,262千円 |
製造業 | 10,940千円 |
教育 | 10,381千円 |
不動産やインフラなど比較的資本が大きい産業が上位を占めています。労働生産性の下位産業は以下のとおりです。
卸売・小売業 | 6,440千円 |
建設業 | 6,173千円 |
保険衛生・社会事業 | 4,580千円 |
その他サービス | 3,608千円 |
宿泊・飲食業 | 3,179千円 |
農林水産業 | 2,540千円 |
上位産業とは対照的に、労働集約型の産業が下位に集約されている印象を受けます。
コロナ禍の影響を受けやすい産業が多いため、これらの産業をテクノロジーで支援する動きが広がっていくことが予測されます。
まとめ
日本の就業者1人あたりの労働生産性は8,200千円程度で、ここ数年大きな成長が見られず停滞気味です。
OECD加盟国の中でも順位は低く、加盟国平均と比較すると1人あたり20,000ドル(200万円以上)の乖離があります。
労働生産性を国内産業別に比較すると、サービス業・宿泊業・飲食業など労働集約型の産業で労働生産性が低くなる傾向がありました。
- なぜ日本の労働生産性は低いのか?
- OECD加盟国で労働生産性上位国との違いは何か?
- 日本の労働生産性を高めるためには?
上記テーマに関心がある方へは、以下の書籍をおすすめします。リンクを掲載しておきます。
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