新学習指導要領の押さえておくべきポイントとは?

調査・研究

平成29年・30年改訂の新学習指導要領について、何がどのように変わるのかを調査してまとめます。

教育に直接携わる方もそうでない方も、学習指導要領の改訂内容からこれから起きることを予測してみてはいかがでしょうか。

学習指導要領とは?

学習指導要領についての説明は、以下文部科学省のHPより引用します。

全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省では、学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めています。これを「学習指導要領」といいます。

文部科学省公式ホームページ 学習指導要領とは何か?

学校で使用される教科書や時間割は、この学習指導要領をもとにして作成されています。

学習指導要領の編纂

平成に入ってからの学習指導要領改訂の編纂を以下にまとめます。

改訂年改訂内容(概要)
1989年(平成元年)小学校1・2年生に生活科を新設 道徳を中心とした人間教育の充実
1998年・1999年(平成10年・11年)ゆとりのある教育活動を重視 総合的な学習の時間の創設
2008年・2009年(平成20年・21年)授業時間を増やし指導内容を充実させる 外国語活動を小学校にも導入
2015年(平成27年)※一部改正道徳の特別教科化

おおよそ10年に一度のペースで改訂が行われています。時代に合わせた改訂とは理解しつつも、ゆとりを強調したあとに授業時間を増やすなど一貫性の無さを感じてしまいます。

2017年・2018年(平成29・30年)改訂学習指導要領について

いつから始まるのか?

新学習指導要領の施行時期は、幼稚園・小学校・中学校・高校それぞれ異なりますので以下に概要をまとめます。

幼稚園2018年度から全面実施
小学校2020年度から全面実施
中学校2021年度から全面実施
高校2022年度から全面実施

コロナ禍の影響もあり実施時期や取組み内容にバラつきがあるかと思いますが、2022年度までには高校でも新学習指導要領が施行される予定です。

今回の改定のポイントは?

2017年・2018年(平成29・30年)改訂の学習指導要領では、以下の資質・能力の3つの柱が新しい時代を生きる子供たちに必要な力として重要視されています。

  • 学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力、人間性など
  • 実際の社会や生活で生きて働く知識及び技能
  • 未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力など

変化の激しい現代を生き抜いていくために、より実践的な生きる力やスキルが求められているようです。

どのように学ぶのか?

どのように学ぶかについては、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)が強調されています。

何を学ぶかだけではなくどのように学ぶか、さらに「何ができるようになるか」という実践的な要素が強く打ち出されています。

文部科学省のHPで取り上げられている目指すべき授業の一例を以下にまとめます。

  • 見通しをもって、粘り強く取り組む力が身に付く授業
  • 自分の学びを振り返り、次の学びや生活に生かす力を育む授業
  • 周りの人たちと共に考え、学び、新しい発見や豊かな発想が生まれる授業
  • 一つ一つの知識がつながり、「わかった!」「おもしろい!」と思える授業

主体性・対話性・深い学びなどのキーワードが際立つ内容です。子供にレベルが高いように思えますが、これからの時代はそのぐらい高いレベルが要求されるということでしょう。

具体的に何が変わるのか?

文部科学省が公表している学習指導要領の総則から、小学校・中学校・高校それぞれの具体的な教科等の変更点について以下にまとめます。

小学校

新設・変更される教科等概要
外国語活動3・4年生対象に新設
外国語科5・6年生対象に新設
特別の教科 道徳道徳が教科として設定される

中学校

新設・変更される教科等概要
特別の教科 道徳道徳が教科として設定される

高校

新設・変更される教科等概要
理数数学と理科の横断的な学習を意図して新設
総合的な探究の時間総合的な学習の時間から改訂

教科等としての新設・変更ではありませんが、2022年4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることを受け、高校の家庭科で消費者教育が実践されます。

高等学校指導要領の家庭編には消費生活という項目が設けられており、多様化する経済に対応するための消費者教育の必要性が論じられています。

具体的な内容の発表は見つかりませんでしたが、政府広報オンラインでは以下の内容についても充実が図られると公表されています。

  • 体験活動
  • 起業に関する教育
  • 金融教育
  • 防災・安全教育
  • 国土に関する教育

起業に関する教育や金融教育などについては、民間企業との密な連携が重要になりそうです。

まとめ

テクノロジーの進化や急速なグローバル化により、変化の激しい時代を生き抜くための実践的なスキルを養うための学習指導要領改訂のようです。

全国一律の基準ということもあり抽象的な内容が多いですが、時代に合わせた確実な進化が感じられる内容です。

以下の書籍は学習指導要領改訂に携わった著者によって書かれており、教員でなくても読みやすく概要を理解しやすいのでおすすめです。


この学習指導要領の施行を契機に日本の教育レベルが進化していくことを願いつつ、民間企業に勤めるサラリーマンとしても何か役に立てることを模索したいと思います。

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